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第3回 那須平成の森と那須高原ビジターセンター ~開園に向けた管理運営システム作りとスタッフのトレーニング~

 何事かをゼロから立ち上げる仕事はどんなものであっても大変な
思いをします。しかし同時にわくわくしながら仕事ができるもので
もあり、更に成し遂げた時の達成感はひとしおで、辛かった時期を
忘れてしまうほどの感慨を味わうこともできます。
今回はそのような那須平成の森立ち上げ準備のお話です。

2016集合写真(平城起立)

スタッフ集合写真(平成28年度)

○16名の専門スタッフ ~インタープリター~
 那須平成の森と那須高原ビジターセンターは(情報共有・効率
性などの観点から)一体的(両施設は4㌔ほど離れた場所にあります)
に運営管理することになっていましたが、私たちは、この運営管理に
は他の既存ビジターセンター等と比べ、より多くのスタッフが必要だと
考えていました。それは那須平成の森が独自のフィールドを持ち、
来園者に対し自然体験の提供に重点を置くことをコンセプトとしていた
ためです。ガイドなどのプログラムを実施しつつ施設運営やフィールド
管理を同時に行うためには、両施設総勢16名(開園当初)、那須平成
の森では一日当たり6~8名、那須高原ビジターセンターでは2~3名
のスタッフを配置する必要がありました。また、スタッフ全員はインタ
ープリターとしての専門性を発揮しつつ、バックヤードを支えるあらゆ
る業務を担えるよう教育される必要もありました。
 多岐に渡る運営管理をオープン当初から円滑に行うためには開園の前
年度に作成したインタープリテーション計画(前号参照)が不可欠でし
たが、その計画に命を吹き込むためのシステムについても大枠の部分では
前年度の内に作成していました。開園までの1ケ月半の間は、スタッフが
一丸となりよりきめ細かい部分の調整を図りながらシステムを
完成させていきました。今号ではその一端をご紹介していきましょう。

○那須平成の森(那須高原ビジターセンター)を開園させるために必要なこと(Ⅰ)
 新たな施設を円滑に始動させるにはさまざまな仕組み(システム)が必要
ですが、環境省でも初めて実施する事業であり、私たちワーキンググループ
も手探りで準備をしなければなりませんでした。ここでは、開園の前年度、
私たちが大枠として整えたシステムの『項目』を記すと共に若干の補足を添
えます。なお、前号の「インタープリテーション計画」に述べられているもの
(「展示」に係ることなど)については触れていません。

□プログラムに関わること
・実施される中心的プログラムの位置づけ、その他のプログラムの種類
・那須平成の森ガイドウォーク(中心的なプログラム)
・那須平成の森ガイドウォーク特別編
・森林管理プログラム
・モニタリングプログラム
・ミニプログラム(実施時間30分程度)
・自然体験・学習プログラム(受託事業)
※「自然体験・学習プログラム」は当初受託事業のみでしたが、後年主催事業
としても実施するようになりました。

・「自然解説(ガイドウォーク)プログラム」に必要なマニュアル
・ガイドウォークプログラムの構造、プログラムの作りの方法
・ガイドウォークプログラム計画のための資料「解説ユニット」
・ガイドウォークの構成
ガイドウォークプログラムは、「導入~展開~まとめ」の流れで構成され、
展開の中に「解説ユニット」、「その時々のトピック情報」を織り込みます。

・「自然体験・学習プログラム」に必要なマニュアル
・プログラムの構造と計画
・プログラムの構成
・プログラムの流れは、ガイドウォークと同様「導入~展開~まとめ」で
 構成します。
・プログラムの内容は、参加者自らが主体となって参加体験できるものを
 用意します。
・プログラムを実施するコース(エリア)設定
・プログラムの年間スケジュール
・プログラムの予約、受付方法および料金設定
・注意事項
・危険やトラブルを事前回避するためのコミュニケーション
・繁忙期と閑散期の設定と対応するプログラム
・試行プログラムの実施
開園の前年度、一般公募の「ガイドウォークプログラム」、地域の小学生を対象に
した「自然体験・学習プログラム」を複数回試行し改善を加えながら開園に備えま
した。

プログラム案内

団体利用プログラム案内書の表紙(開園当初)


□人員に関わること
・スタッフ数と組織体制(職務分掌)
 職務分掌を詳細に決め役割分担を徹底しましたが、スタッフがチームとなって取
 り組めるよう、職務を横断して関われるような柔軟性を持たせました。
・季節による施設の開閉時間(休館日)の設定
・プログラム以外の業務
 インタープリターとしての業務の他に、総務・庶務・経理・広報・営業・物販・リ
 スクマネジメント(安全管理)・施設維持管理(フィールド維持管理)・清掃(館内
 外)・地域連携などといった、多岐に渡る業務を行うための準備です。

□印刷物
・リーフレット
 那須平成の森(那須高原ビジターセンター)で配布するものではなく他の場所に置
 いてもらうことを念頭に、どこかでリーフレットを手にした人が行ってみたくな
 るような紙面構成を心掛けて作成しました。
・広報誌
 「那須平成の森通信」を年4回発行。内容は、一般の方向けではなく、自然学校や
 各地のビジターセンターなど類似する施設の皆さんに読んでいただくことを目的
 とした紙面作りを目指しています。
・遊歩道地図
・プログラムガイド
・ガイドプログラム案内書
・団体向け案内書

□ホームページ(SNS)
 スタッフが随時変更できるような形態をとっています。

○那須平成の森(那須高原ビジターセンター)を開園させるために必要なこと(Ⅱ)
 「開園させるために必要なこと(Ⅰ)」で準備されたシステムを開園の年の4月に受け
継いだスタッフたちは、それを運用可能な形に整えて開園後をシミュレーションしていき
ました。同時にガイドプログラムを実施しなければならないスタッフは、本業となるべき
プログラムのトレーニングも積まなければならず、過密なスケジュールをこなしていきました。
この項目ではそれ以外にリスクマネジメントについても触れます。

□スタッフトレーニング
・「インタープリテーション計画」の読み込みと勉強会
・「自然解説(ガイド)プログラム」に必要なマニュアルの読み込み・勉強会・スタッフ
 相互による試行プログラムの実施
・「自然体験・学習プログラム」に必要なマニュアルについて(同上)
・普通救急救命講習の受講 
・開園当初寄せられると思われる「苦情(クレーム)」、「質問」などに対する「Q&A」
 を作成。また予約方法や受付時の対応に関するシミュレーショントレーニングの実施。

シノーシュープログラム

スノーシューを使ったガイドウォーク


□リスクマネジメント
 普通救急救命講習の受講は前述しましたが、その他に次のような安全管理対策を講じ
ています。詳しくは次号(第4回)「リスクマネジメント」で詳しく述べます。
・防火(災)訓練
・救急時対応備品の配置(通年用、夏季用、冬季用)
・AEDの設置
・プログラム時携行用ファーストエイドの配備
・緊急連絡網
・荒天時のプログラム対応フロー
・施設点検表
※その他余談ですが、開園後5年間をかけて、
・緊急時対応トレーニング(抜打ち実地訓練、机上訓練)
・非常時対応の各種ガイドラインの作成
 などのシステムを整えていきました。

 このようにして平成22年の準備期間1年と平成23年4月から開園日までの約1ケ月
半をかけ、管理運営システムを整備すると共にスタッフのトレーニングを積み重ねてきま
した。そして平成23年5月22日、那須平成の森は「国際生物多様性の日」に開園、直
ちにエンジン全開でトップギア、立ち上げ準備業務完了の達成感に浸る暇もなく怒濤の日
々が始まっていったのでした。

FC開園セレモニー(2011.5.21)1383

那須平成の森 開園報告会の様子(平成23年5月21日)


※那須高原ビジターセンターは、那須平成の森より遅れ2011年11月13日に開館
しました。

※第4回は「リスクマネジメント ~安全管理 避けることのできない自然界の危険に
 備える~」です。(掲載日未定)

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